「その溝を作った要因が幼い潔音様にとっては過度のストレスとなり、次第に身体に支障をきたすようになりました。しかし、それをパーティーや人前などで表情や態度に出すことは立場上決して許されないこと。幼い頃から頭が良かった潔音様は、そのことを誰よりも理解しておられました。他人の目があるところでは常に笑顔でいること。それは紫雨家の屋敷に雇われている使用人の前とて同じことです。
潔香様の前、パーティーの最中、使用人の前と、笑顔でいる時間が長くなっていった潔音様は、常日頃から笑い続けることが癖になってしまいました。それが今の笑顔を決して絶やさない潔音様の原点となっております。」
なまじ頭が良いだけに、自分の立場がわかってしまう。
どんなに幼くても紫雨財閥の令嬢であるという事実は変わらない。
自分の言動一つが、紫雨家の評判に繋がってしまう。
「潔香様が亡くなられたことで一悶着ありましたが、それ以降も笑顔で接してくる潔音様に安心なさった旦那様は今の様な脱走癖が再発しました。その尻拭いの為に、当時まだ4歳だった潔音様は必死で仕事をしました。」
「4歳で仕事!?」
子どもの権利条約の一つ、発達権の意味が無いだろ。
あの男は子供に何をさせてるんだ………。

