* * *



マンションに着き、俺の部屋のベッドで寝ている紫雨。



息も荒くてしんどそうだし、頬も赤い。


完全に風邪だな、これは。



って言うかこいつ、風邪ひいてるくせにコンクールで優勝したのかよ………。


コンクール中はそんな素振りなかったんだが………。



「ん………。あれ、一条聖斗先生………?」

「起きたか………、ちょうどいい。紫雨、今の内に体温を測れ。」

「はぁ………。」



やはり風邪の所為で普段張っている気が抜けているのか、体温時計で熱を測る時もぼんやりとしている紫雨。



「取り敢えず氷枕は敷いたし熱さまシートは貼っておいたから、後は薬だな。」

「体温測れましたよ。」

「見せろ。」