「紫雨、少し機嫌が良いな。」



帰りの車の中で、俺はそう言った。


上機嫌という程でもないが、紫雨は機嫌が良さそうに思えた。



「そうですか?」

「あぁ。あの桐生嶺二と話してから少し機嫌が良さそうに見える。」

「まぁ、私と似た考え方をする方を見つけたからでしょうか。」



似た考え方、か………。



「恋人に束縛されたくないってやつか?そこら辺は確かにお前と似てそうだな。」

「私は恋人を必要としていませんが………まぁ桐生嶺二様の仮定の話で言うのならば、恋人には私のすることに口出しをしてほしくありませんからね。」

「霜月陽華もか?」

「う〜ん………どうでしょうか。霜月様はああ見えて引き際はきちんと弁えている方ですし、私が束縛されるのを嫌っていることは知っていますから、私のすることを引き止めたりはしませんからそこはいいと思っています。まぁ文句は言われますけど………。」



この様子じゃあ、霜月陽華には脈無し………いや、好感度は良さそうだから他の奴らよりは脈あり、か?