「悪意を向けられるのなら、もっとドロドロとした悪意の方が数倍マシです。」
「それもそれでどうかと思うが………。」
ふと腕時間を確認すると、もう準決勝の時間が迫っていた。
「紫雨、そろそろ準決勝の時間だ。」
「あぁ、もうそんな時間ですか………。桐生嶺二様、私は準決勝がありますのでこれで失礼いたします。霜月様はまた後でお会いしましょう。」
「潔音………気をつけてください。準決勝で当たる貴女の対戦相手の朝比奈美琴は、貴女をやたらと敵視しています。」
「………………そのようですね。」
こいつ………さっきわざと朝比奈美琴が紫雨を敵視するように煽ったわけじゃないのか?
「結果は見えきっていますが、私は貴女にあれからヴァイオリンの腕をさらに上げたのだと胸を張れるような決勝にしたいです。」
「私と霜月様が決勝に勝ち残るのは確定ですか………。」
「それでは潔音、名残惜しいですが私はこれで………。嶺二、行きますよ。」
「はいはい。潔音ちゃん、準決勝頑張ってね〜。」
「桐生嶺二様も、ピアノ部門の準決勝と決勝、頑張ってください。」

