* * *



「どんなに来て欲しくなくても、その日は必ずやって来る………。」

「何言ってんだお前。」

「いえ、とうとう来てしまったなぁ………と。」

「はぁ?」



そんなに怪訝そうな顔で見なくても、私が一条聖斗先生からしたら変なことを言っていることぐらい自覚しています。



「紫雨さん、準備は大丈夫ですか?」

「音無詩音先生………。えぇ、大丈夫です。」



心の準備以外は………。



「そうですか。では私はコンクールの主催者や審査員の方達に挨拶に行ってきますので、一条先生は紫雨さんに着いていてあげてください。」

「わかりました。」



男性にしては長い髪を揺らしながら、音無詩音先生は行ってしまいました。