「怨みは………抱いてないし、抱かないよ。ただ、自分の情けなさに呆れ返ってる。」

「………そうですか。やはり、速水徹様もお優しい方ですね。」

「優しくはない。俺も、君にあんなこと言われるまでは怨みを抱きそうになっていた。」

「それでも………あんな話を聞いて怨みを抱かなかったのですから、お優しいと思いますよ。私なんて、怨みを抱いても仕方がないのだと、そうわかっていながら怨みや憎しみに囚われ精神をおかしくしてしまい、今では体の機能に支障をきたしています。……多少ですが。
速水徹様にはそうなって欲しくなくて私とあの人のことを話しましたが………どうやら必要ありませんでしたね。」



あの人………。


彼女が怨みに思っていて、身近な人間で、一緒に住んでいたとなれば………。



「父親………とか?怨みに思う相手というのは。」

「………まぁあれだけヒントがあれば気が付かれるとは思っていましたが………そうですね、その通りです。」



まぁ、さっきの話しから考えると当然、か………。