2つ目の理由は精神的におかしくなっていたと言っていた。


大人びていたとは言え、たった5歳の子供を精神的に追い詰めてしまうには十分すぎる出来事だしな。



「あぁそうです。速水徹様に全てをお話ししたら、お渡ししたいと思っていたものがあるのでお渡しします。」

「渡したいもの?」

「これです。」



彼女が私に差し出したのは、1つの指輪。



「こ、この指輪………。」

「速水徹様と梨沙さんの結婚指輪です。いつか、速水徹様に全てをお話ししたらお渡ししたいと思い、私がお預かりしておりました。ですので、お返しいたします。」



俺は、震えた手で差し出された指輪を受け取った。



「速水徹様。私が言っても説得力は皆無ですが、敢えて言わせていただきます。恨みや憎しみに、囚われてはいけませんよ。」

「恨みや、憎しみに………?」