淡々と、中学生の女の子が語るには重すぎる内容を語った彼女は、表情こそ無表情だったが俺には泣いているように見えた。
「質問してもいいか?」
「どうぞ。お答えできるかはわかりませんが。」
「何故………、梨沙と一紗が死んだことを俺に言わなかったんだ?」
疑問だった。
俺のことは、所在こそ知らなかったとは言え梨沙から聞いていたと言っていた。
それなら何故、俺にそのことを言わなかったのか。
「そうですね………、理由は3つあります。
1つ目は、当時私が5歳だったことです。いくら紫雨財閥の令嬢とは言え、ただの子供に出来ることは限られてきます。速水徹様の所在を存じ上げていなかったので、探し出すのに苦労していまして。
そして2つ目は、その頃の私が精神的におかしくなっており、私専属のメイドから速水徹様に会うのを止められていたからです。
3つ目は、速水徹様に自分達の死を話さないでほしいという、梨沙さんの意思を尊重したからです。梨沙さんからの、最後のお願いでしたから。」
そのお願いが彼女をここまで追い込み、苦しめ続けてきたのか………。

