「…………とつ……。」
「はい?」
「一つ、貴女に聞きたいことがあります。」
「………何でしょうか?」
私も大概、意地悪と言いますか何と言いますか………。
速水徹様の言いたいことはわかっているのにこのようなことを………。
まぁこうなることを見越して歩いて帰ると言ったのですが、やはり聞いてほしくはなかったですね。
「貴女がデザイナーとして仕事をする時に使っている皇一紗という名前のことです。………何故、その名前にしたのですか?」
「何故、ですか………。私が皇一紗と名乗ることに、何か問題でもありますか?」
「いや、そう言うわけでは………。」
「それとも………。」
いけない………。
この言葉の先を言ってしまったら、もう後戻りは出来ない。

