「お父様、今はこのようなことをしている暇が無いことがわからないんですか?もう10時になろうとしているのですよ。外なんてもう真っ暗ですよ。」
「潔音がその手を離してくれたら考えようかなぁ?なんて………。」
「そう言いつつも、体を階段のある方へ向けようとしている時点でこの手を離すわけにはいきません。」
潔音とそんな全然進展しない攻防を繰り返していると、社長室から俺が逃げようとしている原因の書類の束を持った瑛斗が出てきた。
「そんなことよりも恭弥様。これを見て逃げ出そうとするということは、これに何か心当たりがあるのですね?」
これと言ったところで、俺からすれば心当たりありまくりな書類の束を見やすいように少し持ち上げた瑛斗。
「さあ恭弥様。まずはこれについての話を聞かせてもらいますよ。潔音様、恭弥様を社長室へ。」
「もちろんです。」
潔音に引きずられるようにして、俺は社長室に入った。
〜恭弥side end〜

