「紫雨さん、娘の為に浴衣を作ってくれてありがとうございます。」
「いいえ、私がやりたくてやったことですので。
それでは、私はこれにて。」
「潔音ちゃん、今日も迎え?」
「今日は歩きです。たまには歩きもいいかと思いましたので。」
「えっ!?ここからあのお屋敷までかなりの距離だよね?」
お屋敷って………。
「はい。でもいつも車だと運動不足になるので。」
「それなら、夜道は危ないから俺が家まで送ろう。花音に付き添ってもらった恩もある。」
「…………そうですか、ありがとうございます。」
予想はしていましたが、やはりこうなってしまいましたか………。
「それじゃあ潔音ちゃん、お父さん、気をつけてねー!」
速水花音様に見送られて歩き出した私と速水徹様ですが、私から話すことは何も無いので道中は静まり返っています。
………少し居心地が悪いですね。

