「あ、潔音ちゃん、そろそろ花火だから向こうに行こ?」
「花火?」
「お前………、まさか花火も知らないなんてことないよな?」
「いえ、花火は知っています。花火とは、火薬と金属の粉末を混ぜて包んだもので、火を付け、燃焼・破裂時の音や火花の色、形状などを演出するもの………ですよね?確か火花に色をつけるために金属の炎色反応を利用しており、混ぜ合わせる金属の種類によってさまざまな色合いの火花を出すことができるっていう………。」
「………ごめん、そこら辺のことは詳しくわからないけど、多分その花火だと思うよ。」
「今、紫雨が何て言ったかわかったか?」
「さっぱり。」
「火薬と金属の粉末をどうのこうのって………。」
「火薬、と金属の……粉末を混ぜて、包んだものって……言ったん、だよ………。ふわぁ………。火を付けて、燃焼……破裂する時の音や………火花の、色……、形状などを、演出するもの………で、火花に色を、つけるために……金属の炎色反応、を利用しており……混ぜ合わせる金属の………種類によって、さまざまな色合いの火花を……出すことが、でき、る……………。」
………私がたった1度言ったことをすぐに覚えてしまうとは………本当に、末恐ろしい記憶力ですね。
「とまぁ、そのように知っているには知っているのですが、実際に見たことはありません。」
「勿体無いよ!物凄く綺麗だから、潔音ちゃんも花火見てから帰ろ?ね?」
「…………そう、ですね。後学の為に見ておいて損はありませんしね。」
「じゃあ決まり!いい隠れスポットがあるから急ご?」
当たり前のように繋がれた手はとても温かくて、やはり彼女もそうなのだと再認識しました。

