「あら、
母様やお祖母様も着た伝統のデザインに、
動きを妨げない最新技術のサポート力で、
各運動機能と防御機能をを増幅させてるのよ」



「そりゃあ、
年頃の子が黒尽くめが嫌なのは分かるぞ。
お前の母さんだって、ほれ、
ピンクがいいと散々駄々をこねて困らせたもんじゃ。

じゃが黒は黒猫のトレードマークじゃて、どうもならんぞ」


得意そうに説明するお母様と、
たしなめるお祖母様に、
アタシは首を振ってため息をついた。



「お二人とも、
大事なことを忘れてません?」



-----黒い装束に身を包んで闇に溶ける
小柄で痩身、
帥は猫の如く、
細い隙間からも入り込む
即ち
黒猫-----


江戸時代の瓦版に残る黒猫の文句を諳んじながら、
アタシはその場に立ち上がった。

腰に手をあて、
青い小花のワンピースに身を包んだ体を、
ぼんやりとオレンジ色に揺れる灯の下に晒した。


その姿をまぶしそうに見上げるお母様。


そしてお祖母様は苦々しくも言い切った。


「これも時代、しょうがなかろうて」