Jは静かに歩み寄ると、
長い指先で、
動けずおびえて震えるアタシの髪の毛に触れた。


綺麗な指だわ。
パニックの中で自分の髪の毛に触れる指先にぼうっと見とれていると、
いきなり目の前に顔が近づき、
唇が塞がれた。


「んんっ」



見開いた目の前には、
長いまつげに覆われた瞼。

重ねられた唇は柔らかくて熱い。

「んーっ」



舌で唇をなぞられ、
思わず息をもらしかけた隙をついて、
舌が唇をこじ開けて滑り込んできた。


驚いて体を離そうとするが、
いつのまにかJの腕に抱きしめられ、
広い胸の中から逃げ出すことが出来ない。

身体を押さえられて動けず、
悔しくて涙がとまらないのに、
口の中をまさぐられ、
歯の裏をなめられ、
舌を絡められる。


舌を逃がそうとするがそのまま導かれてJの口の中に吸い取られた。


そして、
再び口をふさがれると、
今度は音をたてながら舌を絡める。

その音の淫猥さに頭がぼうっとなって、
口の中をなすがままに蹂躙された。



ようやく唇が離れると、
酸素を求めて荒い息をするアタシの耳元で、
Jはささやいた。


「手荒なことをしてすまない。
鍵を手に入れる為に女を使うくらいだからと思ったが、
実はこんなに初心な仔猫だとは思わなかった」


あの本部長にセクハラを受けた時のことを見られてた?


再び羞恥に身を染めながらつぶやいた。


「..........よ」




「なんだって?」

聞き返したJの耳元に口を寄せた。