本部長は、
ケースの下にあるパネルを開いた。

「申し訳ない。
どうも暗証番号のエラーのようです」


本部長はあわててもう一度カードを差し込み、
暗証番号を繰り返す。

だが、
いっこうに赤色灯の点滅も警報も止む気配がない。


「おかしいな、
暗証番号が変更になったのかな」

「じゃあ、
この警報を止める方法はないので?」


「その為には、
正しいパスワードを言うか、
警備システムの再起動が必要なんです」


「ともかく、
正しいパスワードを確認してもらえますか?
システムの再起動はあと1時間待てるものなら待ちたいが、
混乱に乗じて奴が仕掛けてこないとも限らない。
おい、この部屋の警備の数を増やすんだ」


「警部さん、
床に太いボルトで設置されたケースに、
銃弾や斧でさえ跳ね返す超高分子のアクリルカバーです。
このカードだけじゃない、
暗証番号と更に私がいなければ開きませんから、
焦ることはありませんぞ」


警部は警備員達に指示を与えて、
本部長と共に警備本部室へ向かった。