「今も、太一先輩のこと忘れられないんだよね?」
また溢れそうになる涙をグッと堪える。
これ以上泣いてたら梨沙に迷惑だ。
私は、言葉にすることが出来なくて、大きく頷いた。
何度も忘れようと思った。
忘れて、楽になりたかった。
でも、そんな簡単に諦められるほどのものじゃなかった。
短い間だったけど、確かに私は、本気で太一先輩が好きだったから。
「だったらさ、」
私は、梨沙の顔を見た。
「もう、逃げるのはやめなよ」
私が……逃げてる……。
その梨沙の顔は、いつもより大人びていて、落ち着いていた。
真剣に私のことを考えてくれているんだなって思った。
「あの図書館に行かずに、太一先輩にも会わずに。そんなことしたって、
余計に太一先輩のことが気になるだけじゃん」
全部、正論だ。
だからこそ、私の気持ちを刺激した。
梨沙が、梨沙にしては大きな声を出して言った。


