「放課後、話あるから」
梨沙は、芯のある、しっかりとした声で言った。
ごくん、と息を呑む。
私と梨沙は、毎日一緒に帰っている。
それなのにわざわざそう言ったのは、きっと訳があるから。
というか、梨沙が今私に言いたいことなんて、私が一番よく分かってた。
*
「お待たせ」
靴箱の前で待っていると、トイレから梨沙が出て来る。
私達はいつものように二人並んで、校門を出た。
たわいない会話をしていると、お互いに本題に入るタイミングが
掴めなくて、結局駅まで着いてしまう。
「やっぱり、今日もこっちなの?」
梨沙は私が乗ろうとした電車を指差して、意味ありげな表情を浮かべた。
なんとなく気づいているんだろう。
私と、太一先輩の間で何かあったということを。
「うん」
私を、じっと見つめる梨沙。
梨沙になら話していい気がした。
もちろん、太一先輩の秘密をバラすことになる。
でも、梨沙に話せば何かが変わる気がして。
この、どうしようもない状況から。


