全部、先輩のせいです。

「うん。当たり。図書館に行った後は、毎日あいつのリハビリに付き合ってる」



凄いな、太一先輩。


人間、傷つくのも限界がくると、感覚が麻痺してくるのだろうか。


なんだか他人事のように思えてくる。


本当の太一先輩を知りたい、とは思っていたけれど、
事実を知れば知るほどこんなに苦しい思いをするなんて。




「なんて名前の人なんですか」



正直、名前なんて興味なかったけど、一応聞いてみる。


太一先輩がそこまで大事に想う人って、どんな人なんだろうか。





「菅野 怜」




聞き覚えのあるその名前に、大きく目を開いた。


麻痺していたはずの感情に、追い討ちをかけるように
釘が刺さる。



菅野先輩。


私はあの人の絵を、目標としてきた。




「知ってるのか?」



太一先輩は私の様子に気づいて、そう聞いてくる。




「何度か、展示会の方で作品を見たことがあって。面識は全くないんですけど、
彼女の絵にはいつも圧倒されます」



「だよね?あいつの絵、凄いよね?」