全部、先輩のせいです。

「すげーよな。あいつ、本が好きだから、本が雑に扱われているのが
見ていられなかったんだって。おかげで、今はちゃんと整っている」


「凄いですね」



私は、初めて相槌を打つことができた。



「俺は、それを受け継ごうと思ってさ。せっかく綺麗になったのに、誰も
手を加えなかったらまた、汚くなるだろう?だから、俺は毎日来て、
整理をすることで、あいつの思いを実らせてやろうって」



知らなかった。


太一先輩が毎日、そんなことしていただなんて。


本棚をいつもウロウロし回っていたのは、本が見つからないからかと
思ってたけど、本当は本が乱れていないか確認するためだったみたいだ。



その好きな人のために、そこまでできるなんて。


どれ程好きなんだろう。


必死に語る太一先輩の目に、私は写っているのだろうか。



「もしかして、その人が入院してる病院って、光丘病院ですか」


「どうして分かったの」



今にも湧いて来そうな感情を押し殺して、言葉を
絞り出すように話す。



「先輩の家、こっちの方じゃないのに、いつも違う方向に歩いて行っていた
じゃないですか。もしかして、お見舞いに行っていたのかなって」