見ると、太一先輩の目には涙があった。
きっと、ずっと自分一人で溜め込んできたものを、やっと吐き出せた
安心からだろう。
なんだか不思議で、ずっと理解できないと思ってた先輩の気持ちが、
どんどん理解できてくる。
それは、先輩に私に似ているところがあるから…?
涙を必死で拭う太一先輩を見ると、どんどん溢れてくるこの気持ち。
たとえ、太一先輩の素顔を知ってしまったとしても、私の
気持ちに変わりはなかった。
むしろ、力になりたい、と思う。
今なら、言える気がした。
この気持ち。
その時、太一先輩が涙を拭って言った。
「もう一つ、秘密にしてたことがあるんだ」
普段の声よりもワントーン低い太一先輩の声。
「俺が、図書館に来てる本当の理由」
私達しかいないその空間に、その声だけが微かに響き渡った。


