全部、先輩のせいです。

「今、高校でみんなが見てる俺は、本当の俺じゃないんだよ」


ちゃんと言葉にされればされるほど、その現実は嫌でも
突きつけられた。


私は、それを受け入れるしかない。


「本当の俺は、弱くて、おどおどして何にもできない奴。
愛想笑いでしか笑えないし、できるのは勉強だけ」



真逆の姿だった。


今の太一先輩と。


でも。


「太一先輩、変われたんですよね?それなら、どっちも本当の自分で、
いいんじゃないんですか?」


切ない表情を浮かべる先輩を助けたい。


「いや、変われてないよ」


太一先輩は、もう一度ふっと笑う。


「いつも笑っているように見えて、実はずっと不安なんだ。
笑ってないと、周りの人達が逃げていくような気がして。
本当の自分が、バレちゃうような気がして」



今度は、笑っても誤魔化しきれないくらい、太一先輩の弱さが
言葉に滲み出ている。



「全校の中心になったつもりでいたけど、結局俺はそれでも一人だった。
一緒にいてくれる奴はいる。でも、嘘をついて仲良くなった友達とは、
本当の友達にはなれてない」