全部、先輩のせいです。

「中学校の文化祭で。先輩、いつもと全然違ってました」


太一先輩の表情は、固まったまま俯いている。


「教えてください。太一先輩のこと。もっと、ちゃんと」



ただ、毎日図書館で会うだけの仲の私に、本当に話してくれるのか
不安だった。


私は知りたいけど、先輩にメリットはない。


でも、先輩は少し悩んでから、ふっと笑った。



「恥ずかしいな、俺。まさか、見られてたとは思わなかったよ」


その笑いには、どんな意味があるのだろう。

自分の本当の気持ちを誤魔化すためだろうか。


「あそこ、俺の出身校なんだ」


そうなんだろうな、と思ってた。


高校生がわざわざ中学校の文化祭になんて、母校ぐらい
でないと行かないだろう。


でもそこに、矛盾が生まれる。


とりあえず、私はそれを置いといて話を聞く。



「俺さ、陸上部の中でも走るの遅えじゃん?それで、陸上部の奴らに
いじめられてた」


急に声のトーンが下がり、淡々とした口調に変わる。

それは、いつもの太一先輩ではなかったし、こっちが本物
なんだと思った。



「中学校の陸上部の奴ら、やばい奴ばっかでさ。中学生のくせに、
タバコ吸ったり、ピアス開けたり。それなのに、真面目に練習してる
俺よりも走るの速くて」


太一先輩は、大きなため息をつく。