全部、先輩のせいです。

いつものように、もっと笑ってよ。

もっと、楽しそうに話してよ。


信じられなかった。

でも、俯いておどおどしている太一先輩が、確かにそこにいる。



もう、どうしていいかわかんなくなって、私はその場から走り去る。


「待ってよ、羽花」



梨沙は、それに必死で着いてきてくれる。


中学校を出たところで、私は走るのをやめた。


その息切れに、体育祭の時の借り人競争を思い出す。



「何があったの?」


梨沙に、話したかった。

話して、楽になりたかった。


でも、私はなんだか見てはいけないものを見てしまったみたいで。

そんなこと、言ってはいけない気がして。


鼓動が速くなって、全然息が整わない。



「ごめん、今は言えない」


泣きそうになりながらそう言うと、梨沙もそれを
察したのか、何も言わずに頷いてくれた。


私は何度も大きく息を吸う。


そうしないと、心が落ち着かない。



それでもまだ、信じられなかった。