全部、先輩のせいです。


「そうだ」


いきなり、太一先輩が大声をあげる。

周り歩く人たちがチラチラと太一先輩を見た。



「総体、見にきてよ」



ニコニコと、太一先輩は私を見つめてくる。

恥ずかしくて、私は目を合わせないようにする。



素直に、行きたかった。

誘ってくれたのも、すっごく嬉しかった。


でも、それを太一先輩のように、言葉にできなくて。


逆に、今答えられない、というのも変に意識しているのが
バレてしまう。


私は照れを隠しながら言う。



「もちろんです」


「本当に?俺、頑張るから!」



ま、俺は頑張ったところで遅いんだけど、と太一先輩は
一人で笑う。


太一先輩が陸上部の中でかなり遅い、というのはみんな知ってる。


でも、陸上部の中でもかなり頑張っている、というのを
知っている人は少ない。


私はそんな太一先輩を応援したかった。


駅に着いて、太一先輩は立ち止まる。


「じゃ、俺はここで」