全部、先輩のせいです。

後ろからそんな声がして、ドクン、と胸が鳴る。


振り向くと、子供のようにドタバタと太一先輩が走ってきた。

なんだか、手の焼ける弟を見ているような気分になる。


同時に、その姿が愛おしかった。


「途中まで、一緒に帰ろ」


「は、はい」



やったー、なんて喜ぶ太一先輩の横顔を
見ながら、私は幸せな気持ちになる


「そういえば、羽花ちゃんが前行ってたっていう図書館って、
まだ工事終わらないの?」


ギクッ。


避けてきたその話をいきなり言われて、動揺する。


実は、もう工事は終わっていた。


でも先輩に会いたいから、まだこっちの図書館にお世話になる
ことにした。


そんなこと、先輩には言えない。



「いやー、終わったんですけど。こっちの図書館の方が
人が少ないんで勉強が捗るなぁっと思って…」


適当な言い訳をする。

でも、太一先輩は気にしていないようだ。


「そうなんだ。嬉しいよ、毎日会えるなんて」


そんなこと言われたら、期待しちゃうやめてほしい。


太一先輩にとっての1は、私には100となって伝わる。


もしかしたら先輩は、率直に思ったことを言葉にしている
だけかもしれない。


でも、それは普通の人にとっては、好きな人に言う言葉だ。


そこら辺のとこ、分かっているつもりでも、顔が赤くなって
しまうのは何故だろう。