全部、先輩のせいです。

向こうは、ラストスパートをかけて来た。


ダメだ、このままだと負けてしまう。


私は太一先輩の方を見つめる。


太一先輩は、「大丈夫だから」と言って、そのペースのまま
走り、私達はゴールした。


2位だった。


走り終えた後、私は呼吸を整える。


こんなに走ったの、久しぶりだった。


いつもは、自分のペースで走るから、自分のしんどい速さよりも
少し遅いペースで走っていた。


でも、太一先輩と走ることによって、自分の限界の速度まで
上げることができた気がする。


昔よく、鬼ごっこをして、鬼に捕まらないように全速力で逃げていた。


なんだか、あの頃の感覚と似ていて、しんどいのに楽しい。


自然と、笑顔になっていた。


「ありがとうな」

「足引っ張ってしまってすみません」

「羽花ちゃんのせいじゃないよ。羽花ちゃんと走る前から俺、
めっちゃ遅かったじゃん。寧ろ、羽花ちゃんがあんなに速く走って
くれて良かった」



とんでもないよ、という風に慰めてくれる太一先輩は、
やっぱり優しいなと思った。