全部、先輩のせいです。

____どうして私なわけ?


テントにいる人を掻き分けて私の目の前に立ち、
手を差し伸べてくる。


「行こ!」


どうしたらいいか本当に分からなかった。


この手を取るべきなのか、断るべきなのか。

新川先輩は今、どんな気持ちで私を見ているのか。


私は、恐る恐る新川先輩の方を見る。


新川先輩は、前の時のように口を噤んでいた。

でも、私の視線に気づいて、ゆっくりと頷く。


新川先輩の気持ちも分かるけど、目の前にいる太一先輩を
困らせるわけにもいかない。


私は、何も知らずに、呑気に笑う太一先輩の手を取った。


大きい手。

二学年と性別が違うだけで、ここまで違うんだ。


私は太一先輩に引かれながら走った。

いくらリレーの選手になれなかった言っても、短距離選手な
だけあって、繋いだ腕が引きちぎれそうなぐらい引っ張られる。


「大丈夫か」


荒い息遣いになった私を見て、太一先輩が一旦止まる。


でも、ゴールまであと少し。

向こう側から他の人が全速力で走って来ている。

あの人の勝てば、一位だ。


迷惑をかけたくなくて、「大丈夫です」答えた。


でも、太一先輩はさっきよりもペースを落として走り出す。