全部、先輩のせいです。

バァンっとピストルが鳴って、太一先輩達第1走者がスタートする。

他の競技は、ただ楽しんで見ているだけでいいけど、
借り物競走はいざという時に走る準備をしていなくちゃいけない。


男子の中には、「俺が俺が!」と言って、呼ばれてもないのに
手を上げて合図する人がいた。


私は、極力目立ちたくなくて、声をかけられることがないよう
静かにしておく。


やがて、競技者達が走って来て、カードに書かれた内容を叫び出した。


「赤いメガネの女の子!」


「Aブロック一年の男子!」


選手は口々に叫び、該当する人が走っていっている。


「実行委員の女子!」


そう、私たちのテントの前で叫んだのは、太一先輩だった。

ビクッと体が反応し、冷や汗をかく。

でもすぐにあることに気がついて、新川先輩の方を向いた。


新川先輩も、こちらを見ていた。


行くべきだ、と思った。

新川先輩が。


でも、突然のことの新川先輩も動揺して、中々立ち上がろうとしない。

太一先輩が他のテントの方へ過ぎ去ろうとする。


「あ、いた!」


太一先輩が、大声でそう叫んだ。


その視線が誰に向けられているのか、嫌でも分かった。