第一、広貴は私を探してどうする気だったんだろう。

太一先輩と来るんだったら、一緒に行く必要なんてないし。



「おおー、穂波さんじゃん。え?もしかして、1年のパネル長だったり?
絵上手いの?上手そうだもんねー」


私を見つけた太一先輩は、昨日と同じように、自分勝手に話し始めた。

人と話してるっていうより、一人で盛り上がってるって感じがする。


「こいつ、めっちゃ上手いんすよ。中学の時も美術部で、いろんな
賞取ってたんで。俺が推薦したんっす」


先輩が「すげー」っとマジマジと私を見つめてくるので、
ちょっぴり照れる。


集合時間ギリギリになってようやく全員揃い、会議が始まった。


「お前たち実行委員にかかってるんだぞ」と何度も先生が言うので、
余計に荷が重くなる。


やがて説明も終わり、私達Aブロックは太一先輩を中心に
円を描くようにして集まった。


「えー、俺たちAブロックのブロック長を務めさせていただく
池田太一って言いまーす。よろしくなー」


太一先輩のゆるーい自己紹介に、初めて出会った私達7人の
緊張も解けた。


「ええっと。主にAブロックの応援団を引っ張っていってくれるのが
こちらの飯岡。で、パネル委員を引っ張ってってくれるのが佐倉さん」