全部、先輩のせいです。

いろいろ怪しいけど、先輩にとってそれは触れられたくないことだと
というのは確かだと思うし、「そうなんですか」と相槌だけ打っておいた。


「じゃあ私、そろそろ勉強しなきゃなんで」


ちょっと調子に乗って話しすぎたな、と思い、そう言って礼をする。


「じゃあな。いやー、会えてよかったよ。学校でもよろしくな!」


太一先輩は微笑みながら手を振ってくれた。

「会えてよかった」なんて簡単に言える太一先輩は、やっぱり
私の苦手なタイプだ。


軽々しいというか、言葉の一つ一つを適当に使ってる感じがする。


でも、なんだかさっきの時間は、素直に楽しかった。


私だって、「会えてよかった」って言ってみたいけど、絶対無理だ。


私がさっきいた机に戻ろうとした時、貸し出しカウンターの方から
「あ!」という声が聞こえた。

そして、すごい足音がこちらに向かってくる。


姿が見える前から、太一先輩だということはすぐに分かった。


「ねぇねぇねぇ」


私は呆れたような返事をする。

本当は戻ってきてくれてちょっと嬉しかった。