全部、先輩のせいです。

言われると思っても見なかったその言葉に、
胸をぎゅっと掴まれるような感覚がした。


【努力の量が違う】


まさか、そんな風に言ってくれるとは思わなかった。


正直、ダサいと思ってたから。

毎日毎日ガリガリ勉強して、楽しく遊んでいるような人と
競ったりするのは。


太一先輩相手に身構えていた自分が、素直に“嬉しい”と言っているような
気がした。


別に私は、学年でトップを取ったのが偉いだなんて一切思ってない。

たまたま一回取れただけかもしれないし、勉強で1番を取ることなんか
よりも、部活やスポーツで1番を取ったり、充実した学校生活を送ることなんかの方が
よっぽど楽しいし、難しいと思うから。


それでも、努力をしてない、といえば嘘になる。


今まで、「頭いいね」「賢いね」と言われて、何処か自分に合っていない
言葉にいい気分にはならなかった。

だけど、私は「頭がいい」のではなくて、「努力をしている」ということを
分かって欲しかったのかもしれない。


気がつくとまた顔が上がっていて、自然と太一先輩が視界に浮かぶ。


他の人が気づいてくれなかったことに、この人は気づいてくれた。


____意外にいい人なのかも。


私は素直に向き合って見ることにしてみた。


「ありがとうございます」


太一先輩は、ニコッと笑う。


「おう」