私は有栖川 鏡花。アリスがとても好きな事を除けば、普通の女子高生。アリスのような出逢いが夢の中であるわけでもなく、ただただ普通の生活をおくっている。
 そんなある日、訪れたのは転校生。日に当たってきらきらと輝く金の髪。ブロンズの瞳。イケメン、という代名詞が似合う人だった。酷く懐かしく感じた。でもこんな人と知り合ったなら忘れないだろうと、その感覚を気のせいと決めつけた。先生が話始める。
 「俺の名前は○○○○○です。」
転校生が言った、聞き取れなかった名前。後で聞けばいいかな、って後回しにする。先生から指示されて動く転校生。一歩一歩と近づいてくる。それに比例して大きくなる鼓動。どきどきと耳に聞こえる程に五月蝿い音は転校生の声にはばかられた。
 「…よろしくね」
その言葉に相槌を打つと、彼は隣の空席に座った。まだ鼓動が五月蝿いのを隠すように数学の教科書を開いた。