「うまーーーい!!」
「そいつはよかった」
「やばい!今までで一番うまい目玉焼きだあああ」
...それはないだろう。
「もうちょっと静かに食えよ」
「だって美味いしさ!」
「それはもうわかったから...」
なんで朝からそんなにテンション高いんだよ...。
「元気ないね、熱?」
「お前のテンションについていけてないだけだから気にすんな」
「ならよかった~」
いいのか。
「あ、そうそう、考えてくれた?」
食器類を片付けて、落ち着いた頃に土田が聞いくる。
「ん?」
何のことか分からず、顔を土田の方に向けて聞き返すと、土田はにやけながらこう言った。
「同居の話♡」
「語尾にハートつけるなよ...」
「愛の証明さ」
「はぁ...」
日に日にこいつのばかが悪化している気がする。
多分、俺のせいで。
土田、仕事の時はカッコイイのになぁ。絶対本人に言わないけど。
「で、考えてくれた?」
「んー、考え中」
「えー、なんでだよ、いい考えだと思わない?」
「そこまでして一緒にいなくていいとか...思ったり」
別に心の底からそう思ってるわけじゃない。
会社から近いところを選べば、通勤時間の短縮にもなるし、家事を2人で分担すれば今よりも楽になる。
ただ、不安だ。
俺があいつをずっと好きでいられるのか。
何よりも、土田が俺を好きでいてくれるのか。
「...田嶋がそれでいいならいいんだけどさ」
いつもと違った土田の返答。
随分あっさり引き下がる。こいつにしては珍しい。
いつもだったら、「そんな事言うなよ~」とフワフワした笑顔で言うところだ。

