「……分かった。それが那くんの気持ちなら、私は受け止めるよ」
「これで、寂しくないよな?」
「私は那くんがいれば大丈夫だよ」
もう大丈夫。
那くんの笑顔がそう言ってる。
「那くんパパにはいつ言うの?」
「早い方がいいだろうし、今夜にでも」
「…そうだね。きっとそれがいいよ」
「あ、でも、恵さんと逞さんにも居てもらわねぇと」
「そ、そうだね…」
その言葉に、これは大きな決断なんだって思い知らされ、急に緊張してくる。
2人で決めたことではあるんだけど、もちろんお母さん達にだって迷惑をかけることになると思う。
もしかすると、朱ちゃんを泣かせちゃうかもしれないし…。 そう思うとどうしても緊張が拭えなくて。
浮かない顔をしてるであろう私の手を那くんが優しく握ってくれた。
「大丈夫だって。俺と幸の考えた結果がこれなんだ。父さんも母さんも、もちろん恵さん達だって喜んでくれるだろ」
そう言った那くんの言葉はいつも私の中にストンと落ちてくる。
まるで魔法みたいに。
笑顔で「ありがとう」って、素直に、心からそう思わせてくれる。
那くんって本当に不思議な人だよね。
きっと前世は魔法使いだったんだと思う。子供みたいな考えだって言われても本当に思ってるの。
那くんの言葉はきっと、私だけじゃなくて、みんなの心に響いてる。
それは那くんの人柄もあるんだろうけど、きっと周りをよく見てて、優しい那くんだからなんだよね。
「ふふっ」
「ふっ、なんだよ」
「私ね、那くんの彼女で良かった!」
「…俺も、幸の彼氏で良かったよ」
大丈夫、絶対に、大丈夫だよ。
だって私たちはこんなに幸せなんだから。
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