盛大なため息を着いた那くんは呆れながらお母さん達に声をかける。



「……ほら母さん、恵さんも。そろそろ中入らないと風邪引くよ」

「それはゴメンだわ! ほら杏!早く入りなさい!」

「そうね! ありがと恵!」

「父さんも早く。朱が風邪引く」

「……那、父さんより妹の心配か?」

「当たり前だろ」



項垂れる那くんパパは眠ってる朱ちゃんを抱っこしたまま家の中に入って行く。


両手が塞がってる那くんパパの代わりに私が荷物を運んでいた時。



「父さん、幸に朱預けたら?」

「え、幸、大丈夫か?」

「私は大丈夫だけど、朱ちゃん嫌がらないかな…?」

「大丈夫だろ! …じゃあお任せしようかな」



そう言って私に朱ちゃんを預ける那くんパパ。


一緒に荷物を運んでる那くんを見て相変わらず優しいなぁ…なんて感動したりしてる私って、本当に那くんバカ!



「……あら? 逞は仕事なの?」

「そうなのよねー…。大晦日なんだし休みだと思ってたけど、ちょっと考えが甘かったみたい…」



あからさまに落ちこんでるお母さんに那くんママは「相変わらずラブラブなのね〜」なんて言って笑ってる。




苦笑いしながらお母さんを見ていた私の頭に那くんパパの手が触れ、少し上を向いた。