「お母さん! 少しお出掛けするね!」

「部屋の掃除は終わったの?」

「普段私がしてるから汚れてないんだもん!」

「そっ。気を付けなさいよー」

「「行ってきまーす」」



得に宛もない私達だけど、とりあえず電車に乗って、那くんママ達が着くはずの駅に向かう。


その辺りでぶらぶらしてればあっという間に時間になるはずだからね!



「あ、那くん! あそこのカフェでお茶しない!?」

「……家出てから30分くらいしか経ってないけど?」

「ほら!行こ!」

「……幸ってたまに話し聞いてねぇよな」



那くんがなんか言ってるけど、細かいこと気にしてたらあっという間に年明けちゃうからね!


それに今日くらい美味しいものを好きな時に食べなくっちゃ!


――……お店の中は木目調の可愛らしいカフェで、美味しそうなメニューが沢山だった。


私はとりあえずフォンダンショコラとストレートティーかな…。



「那くん、決まった?」

「うん。俺はアップルパイとコーヒーで」



本間にコーヒー好きだよね、那くん。ふふっ。


1人笑ってる私を見て首を傾げる那くんが、いつも以上にカッコ良く見えるんだから仕方ないよ。


優しげな那くんの笑顔を見ながら、今年1年を一つずつ、思い浮かべる。