そう言って私に優しく笑いかけてくれる月を見て、恐る恐る口を開いた。



「あのね、私の夢なんだけど…」

「うん、何?」

「……私の今の夢はね、那くんのお嫁さんになること…なの……」



言ってすぐに後悔した。


やっぱり言うじゃなかった。 こんなの夢だなんて言わないよね。


月は優しいから笑ったりしないし、バカにしたりもしないって分かってるけど、やっぱりこんなの恥ずかしいよ…っ。


思わず俯いた私の頭に、月の綺麗な手が乗ったのが分かる。



「幸らしい夢だね。

……大丈夫。幸はきっと那のお嫁さんになれるから。

むしろ幸をお嫁さんにしなかったら、あたしが那のことボッコボコにしてあげるから」



そう言って笑顔を向けてくれる月に連られ、私も笑顔になった。


ありがとう、月。



「ねぇ幸、あたし、このまま前に進んでもいいのかな…?」



不安そうな瞳を向けてくる月にしてあげられることなんてないに等しいと思う。


だからこそ1番に話を聞いてあげたいし、誰より親身になって支えてあげたいって思うよ。



「月が考えてる道を誰かが咎めることなんて出来ないよ。

月は自分の思うままに進む人でしょ? 自分で決めたことは絶対に突き通すタイプでしょ?


……それなら意地でも選んだ道を歩かなきゃ。

そうしなかったらきっと、おじさんもおばさんも、もちろん私も怒るよ?」



そう言った私の言葉に半泣きになりながらも笑顔を見せてくれる月。