月は前に一生懸命おじさん達を説得したって言ってた。


だけど、優しい月のことだから、ずっと悩んでたんだろうな…。



「あたしは自分の夢の為にこの場所を出ていこうとしてるわけで…。

これって、ワガママになんないかな?

母さんと父さんに心配かけてまで家出る必要あるのかな?

……とかね。色々考えちゃうんだー」



あははっと笑った月はやっぱりツラそうに見える。



「……幸は、自分の夢、ある?」

「……私は…」



私にはなりたいものも、やりたいこともなくて。


だから月や那くん、星くんがちゃんとした目標を持ってることに少しだけ嫉妬したりしてて…。


こんな自分情けないなって思っちゃうし、私の未来お先真っ暗だなって感じたり……。



「幸、教えて? 幸の夢」

「…私の夢なんて本当にくだらないから……」

「そんなのどうだっていいじゃん。 夢に大きい小さいなんてないんだから」

「そっ、れは…そうかもしれないけど……」

「安心していいよ。笑ったりしないし、バカにしたりもしないから、絶対」