「それで、この数式なんだけど…」

「うんうん!」

「この式にこれを…こう…代入して…」

「あ、そっか! だから答えが2yになるのかー!」

「そうそう! どう?分かってきた?」

「うん! ありがとー幸ぁー!!」

「ふふっ、どういたしまして!」



放課後の図書館で私と月は今日返されたばかりのテストの復習をしているところ。


月は自分をバカだって言うけど、飲み込み早いしすぐ覚えるし。本当はやれば出来る子YDK!なのに…。



「月? もっと自分に自信もってね?」

「え、何どうしたの急に」



驚きを隠せないでいる月だけど、本当だよ? 月は努力家だし、根は真面目なんだから。



「自分をそんなに卑下しなくていいって事だよ!」

「んー? 幸さん、ヒゲって何?」

「………よし、続きやろう!」

「えーちょっとぉー?」



拗ねる月を横目に笑い、続きの問題の説明をしていく私。


――私は月がどうしてそこまで自分に自信が無いのか正直分からないよ…。


綺麗で、優しくて、時に可愛くて。 バカとか不真面目って言われてるけど、本当はすっごく真面目で。