那くんの言葉は私にとって魔法の言葉で。


どれだけ信じられなくなっても、不安になっても、那くんの言葉はいつだって私を掬いあげてくれるから…。


信じる道しか残されていないみたいに、那くんの気持ちも言葉も、私の中にスーッと入ってくる。



「おいで、幸」

「――っ…!」



抱き着いた腕の中は、ひどく久しぶりな気がしてしまった。


2人の時間を大切に思ってくれてる那くん。


私のことを好きだと言って、大切にしてくれてる那くん。


不安になる理由なんてどこにもなかったのかもしれない。だけどこれまでの私が、私たちがあったから今の私が、私たちがいるんだよ…。


そう思うと、どんなにツラくて悲しい過去も全て愛おしく感じれるから本当に不思議だね……。



「俺の中から幸が居なくなることは一生ないから」

「……私も…ないよ…」

「俺が死んでもずっと忘れねぇよ」

「うん…私だって忘れたりしないもん……」

「だから、心配すんな」



大好きな人。


あなたの腕の中はどうしてこんなにも安心出来るのでしょうか。



「俺たち既に新婚さんだろ?」

「〜〜っ、もう!」



おどけるあなたも、楽しそうなあなたも、私だけのヒーローで。


好きだな……なんて言葉そうそう言えないから。せめて今は腕の中で伝えるよ。


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