那くんの少し後ろを歩きながらリビングに入った私を見てお母さんは、
「あれ幸、熱ある? 顔赤いけど?」
なんて言ってくる。
「なっ、ないから…! 大丈夫だから!」
「幸、先に風呂入るだろ?」
「え、あ、うん…」
「ちょっと待てるか?」
「うん…ありがと……」
私の返事を聞いて那くんはそそくさと浴室に向かってくれる。
なんだろう……なんだか本当に頭がボーッとしてる気がする…。
いやいや! 病は気からって言うし、大丈夫大丈夫!!
自分に喝を入れてる私に、お母さんが優しく微笑みながら言った。
「幸って、那の前では本当に可愛いわね」
「えっ!? き、気のせいじゃない?」
「いやいや。あたしだって女だから分かるわよ。 やっぱりあんたには那しかいないんでしょうねー」
「………急にどうしたの? 熱でもあるの?」
変なことを言い出すのはいつもの事だけど、今日はいつもより変なこと言ってる…。
お母さんの顔が赤いのはお酒のせいだとは思うけど、本当は熱があったりするのかな?
流石に考えすぎかな?


