「あははっ!……あたし、今なら死んでもいいわ」

「え?」

「えっ?」

「月、今、なんて言った?」

「ん? あたし今なら死んでもいいわ?」

「〜〜っわ、わざとかよお前!」

「は!? 何急に赤くなって!」

「……はぁぁ…。 月、"月が綺麗ですね"」

「……え?」



"月が綺麗ですね"……?


なんだっけ、これ。 どこかで聞いたことある。


確か……ちょっと前に幸が……あっ…。



「……星ぃぃ…!」

「ふ、月、今なら死ねる?」

「…うん。あたし、今なら死んでもいいわ」

「俺も」



きっと、今日以上に幸せな日なんてないと思う。


ありがとう、星。


あたしも、星が好き。大好きよ。



«ねぇ月、知ってた? 昔の偉人の夏目漱石は、愛してるって言葉を"月が綺麗ですね"って訳したんだって!»

«月が綺麗ですね? 変わってるね……»

«明治の小説家は愛してるを"死んでもいいわ"って訳したって。凄いねー…ロマンチック……»

«幸とあたしなら大丈夫でしょ! ね!»

«ふふっ、そうかも!»



『月が綺麗ですね』

(あなたを愛しています)

『死んでもいいわ』

(私もあなたを愛しています)


.