嬉しいから。 幸が今こうして泣きそうな顔をしてるのは、きっとあたしと星の事を思ってだと思うから。
だから嬉しくて、笑っちゃった……。
「ありがとう、幸」
「……いつから…考えてたの…?」
大きな瞳に涙を溜めながら、そう聞いてきた。
「うーん……結構前かも…。あたしが洋画とか洋楽好きなのはみんな知ってるでしょ? その影響、かな…」
「……そっか…」
そう言ったけど本当は、両親の影響でもあるの。 うちの両親は昔から海外旅行が趣味で、あたしと弟たちもよく一緒に連れてってもらってた。
自分から触れていく知らない言葉、環境、文化、街並みに憧れを抱くのに時間は掛からなかったと思う。
それくらい海外はあたしにとってすごく身近なものになった。
……自分の夢を両親に伝える時、本当はすごく怖かったの。
きっと、応援してくれる。頑張れって言ってくれる。そう予想しながらもどこか怯えてた。
そんな気持ちを抱えつつも打ち明けたのは中学3年生に上がって間もなくした頃、自分の将来について真剣に考えた結果そのままを両親に伝えたの。
きっと父さんも母さんも応援してくれるから。
「――そう思ってたのに…父さんには反対されたの…。"俺たちが海外に行くのは趣味だから。危ないところに1人で行かせられるわけないだろ"ってね…」


