あたしは三郷 月(みさと ひかる)。
"月"って書いて"ひかる"なんて名前、今どきあたししかいないと思う。
当て字みたいで、流行ってるキラキラネームみたいで嫌だった。自分の名前なんて好きになれない。この先一生好きになれない。
……そう思ってた自分が変わったのは、中学1年生の夏。
初めて会った頃から本当に可愛くて可愛くて仕方なかった幸と、幸の幼なじみの那といつも一緒にいたあたし達の間にもう1人友達が増えた。
バスケ部のエースだと言われてた那と同じくらいバスケが上手で、那に負けず劣らず綺麗な顔をした男の子。
冷静沈着な那と本当によく似てて、最初はどちらかと言えば嫌いな方だったのに。
気付けば、目が星を追いかけるようになってた。
きっとすごく単純で。面白いことなんてなんにもない。だけど、あたしが星を好きになるには充分過ぎたんだと思う。
「……"つき"って名前、変わってんな」
「うっさい。自分の名前嫌いだからやめてくれる?」
「ふーん。俺も自分の名前好きじゃない」
「あっそ」
「俺の下の名前、知ってる?」
「興味ないから」
「せい」
「……せい?」
「"星"って書いて、せい」
「キラキラネーム……」
「お前もな。ってか、俺ら2人一緒になったら無敵じゃね?」