「行ってきます」
「行ってきます……」

「行ってらっしゃーい!」



ヒラヒラと手を振るお母さんに小さく手を振り返し学校に向かう私と那くん。


月曜日が休みのお母さんがいつも羨ましく思ってたけど、今日はいつもとちょっと違う気がした。



「恵さんって美容師なって何年目?」

「えっ? えっとー……」



確か高校卒業と同時に働き出したって言ってたから……。



「…21? とかじゃないかな?」

「うわっ、思ったより長かった」

「ふふっ、急にどうしたの?」

「いや、俺たちも17で、もしかすると再来年には働くかもしんねぇじゃん。だから?」



だから?って、なんで半疑問形なんだろう…。


でも……そっか…。 私だって将来のことについてちゃんと考えなくっちゃいけない歳なんだね。


どうしよう……。 私のやりたい事なんて特にないし…好きなものは色々あるけど、それを仕事としてやりたいのかって聞かれるとそれもなんだか違う。



「……那くんは、働くつもりなの?」



そう言えば那くんとこんな話はまだしたことなかったな…。そう思いながら聞いてみたけど、本人は「分かんねぇ」と言いながら空を仰いでた。