出会い 瑠璃said

昔から悩んでる事がある。
それは【自分の生きている意味】。
例えば……あの男子。
「なぁー見ろよ!新しいギャグ考えたんだぜー!」
あの男子の【生きている意味】は皆を笑わすため。ムードメーカーとして生きている。
「じゃあさ、原宿でオソロのもの買って渋谷行こよ。」
あの女子の【生きている意味】はみんなを仕切るため。グループのリーダーとして生きている。
私、東雲小桃の【生きている意味】なんて分からない。
誰かを笑わすためでも、みんなをまとめるためでもない。
小さい頃からずっと悩んでいた。
そのせいで自分は何も無い、ただ生きているだけの人間そう思っていった。
だからいつも、いつも1人ぼっち。
元から暗い訳ではないし、コミュ障でも無ければいじめられてる訳でもない。
「HR始めんぞー。」
ダルそうに教室に入ってきた浅香先生。
「今日は転校生が居るぞー。入れー。」
そう言われて入ってきたのは、背の高くて爽やか系イケメンだった。
「自己紹介しろー。」
「楠木春馬です。俺は隣町から引っ越してきました。よろしくお願いします。」
声も相当なイケメンボイスらしく、女子は目がハートになっていた。
「じゃあ席はー………東雲の隣な。」
浅香先生はそう言うと「HRは終わりな。一時限目の準備しとけよー。」と、教室を出ていった。
「えっと、東雲…さん?よろしく。」
楠木は席に着き、声をかけてきた。流石に無視は出来ないから「よろしく。あとさん付けしないでいいから。」と無愛想な言い方で返した。
傷ついたかな…?そう思って楠木の方を見ると、
「わかった。じゃあ東雲よろしくな。後で学校案内して欲しいんだけどいいか?」
と、嫌な顔一つせず学校案内を頼んできた。別に嫌ではないけど…。
「わかった。お昼休みでいい?」
「あぁ。俺はいつでもいいから、東雲の空いてる時でいいぞ。」
と言い、ニカッと効果音が着くほどの笑顔をする。
私はその笑顔に少しドキッとしてしまった。