翌週の月曜日のこと。



「あのね、舞奈。

昨日の夜ね、植物園のイルミネーション行ってきたよ。」



教室の窓際の席で揺花とお弁当を食べていると、揺花が言った。



『植物園のイルミネーション』というのは、私たちの住む県の隣県にある私設の植物園のこと。

毎年この時期に植物園全体を何百万個というイルミネーションで飾るので有名なのだ。



「あー行ったんだ!いいなぁ!

どうだった?綺麗だった?」

「うん!凄い綺麗だった。

木も池も全部キラキラだしね、光のトンネルとか。あと、プロジェクションマッピングも凄く良かったよ。」

「うわー!行ってみたい!私行ったことないんだー。」

「うんうん。行ってみなよ。オススメだよ!」

「ロマンチックなんだろうなー。」

「そうねぇ…まぁ私も一緒に行ったのがお父さんだからなー。

素敵な男の人と行ったりしたらロマンチックかもねぇ。」



何か思い浮かべるように天井を仰ぐ揺花に囁く。



「宇都宮は?」

「やだっ!もー!ちょっと!

ないッ!!ないからッ!!」



真っ赤に頬を染めた揺花に二の腕をばしっと叩かれる。


「痛いよ。」

「ごめん…

でも舞奈が変なこと言うから悪いんだからね!」

「あーはいはい。」