「永太ぁーー!!」
自転車置き場でチャリに股がって、上の空…って感じの永太郎に声をかけた。
永太郎は『ハッ!!』として、私のところまで自転車をこいできた。
「……どうした?乗れよ。」
永太郎はニコッとした。
たまに見せる、爽やかな笑顔で――
いつもの帰り道―――
永太郎は何も話さない。
「ねぇ。気にならないの!?
私と長岡クンが何話してたのか。」
私は永太郎の背中に話かけた。
「…何話したの?」
永太郎はポツリと呟いた。
この時の永太郎の気持ちなんて、私には何も分からなかった。
いくら兄妹だと言っても……
