ミサへ


「私はあなたの死神です。」

多分、俺はこの言葉を死んでも忘れることが
できないと思います。

俺は、ミサに沢山の嘘をついていました。

長くなるけれど読んでくれると嬉しいです。

まず、俺は3年前からミサを知っていました。

入院病棟で噂になっていた死期が近くなると
見えるようになる少女の話は色々な人から聞いていました。

だから、極力は見たくなかった。

俺だって、死ぬのは嫌だったから。

君が死神だということは、すぐに気づいた。

だって、ミサの纏っていた雰囲気は

人間のそれとは違うと感じたから。

でも、君が見えたとき、俺は何故か
幸せだなぁと感じたんだ。

その理由が今なら分かります。

何故なら、俺は、はじめてみたときから
ミサのことが好きだったから。

一目惚れとか運命とかは
信用しなかった俺だけど
ミサを見たときだけは運命を信じてみようと思ってしまいました。

そして、はじめて喋ったとき
君には名前がなかったから
俺がミサって名前をつけた。
ミサは、きっと気づいていないのだろうけど
その時のミサ、嬉しそうだったよ。


好きな人の前ってさ
カッコつけたくなるんだよね。
だから、俺はミサに沢山の嘘を
重ねてしまった。

ピアノコンクールで優勝したことも。
学年テストで一位をとったことも。
30人の女の子に告白されたことも
全部嘘。
ミサの前ではかっこいい俺でいたかった。

でも、その嘘は俺を
どんどん苦しめた。
ミサの前でカッコ悪いところを
見せれなくなってしまった。
本当、何やってたのだろうな。俺。

だから、今回、この手紙で
全部を伝えようと思いました。
嘘ついて、ごめん。
カッコ悪くてごめん。




そして、最後まで本当にありがとう。




俺の恋は多分、俺にとっての





―――最後の勇気だと思う。