2004年、病院の分娩室の前の廊下で私の父は行ったりきたりしていた。
しばらくすると、オギャー!オギャー!と赤子の泣き声が聞こえ父は扉前に飛んで行った。
すぐに看護婦が現れ、中に入ると女性が眠った赤子を優しく抱いていた。
それが私の母だ。
母「女の子って、看護婦さんが言ってたわ
。」
少し疲れた顔をした母の隣の椅子に父は座った。
父「名前は決めたのかい?」
母は頷く。
母「前にね、名前は”みらい”がいいって女の子が言ってくる夢を見たの。だからこの子の名前はみらいにするわ。人生の未来。」
母は赤子の頭を優しく撫で、微笑んだ。